でこぼこ兄弟の長男は、知的障害ありの重度の自閉症スペクトラムです。
長男は2歳から療育へ通いましたが、通い始めた当時、療育手帳の交付や医師による診断は受けていません。
そんな長男が2歳で療育手帳を取得するきっかけとなった経緯、発達検査や知能検査のこと、療育手帳の手続きのことを解説しています。
※私が住んでいる市町村での経験を元に解説をしていますが、運用方法や支援内容、申請方法などの詳細は各自治体によって異なります。
詳細は、お住まいの自治体の障害福祉相談所担当窓口に問い合わせることをオススメします。
私の経験が療育手帳を取得しようか、迷っている方の参考になれば幸いです。
療育手帳とは?
療育手帳は、児童相談所又は知的障害者更生相談所において、知的障害があると判定された方に交付される手帳です。
療育手帳をお持ちの方は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスや、各自治体や民間事業者が提供するサービスを受けることが出来ます。
療育手帳制度は、各自治体において、判定基準等の運用方法を定めて実施されております。
厚生労働省より引用:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html
療育手帳の有効期間
年齢などにより、2~10年ごとに再判定を受ける必要があります。
療育手帳で受けることができる福祉制度
自治体によって異なりますが、私の市では以下の福祉サービスを提供しています。
- 所得税・県市町村民税・相続税・自動車税などの減免
- JRやバス、飛行機、高速道路などの運賃割引
- 駐車禁止除外指定者の標章の交付
- 携帯電話料金割引
- 動物園や水族館などの利用割引
長男が療育手帳を取得する経緯
療育園に通い始めて数か月が経ったたころ、療育園の先生との面談がありました。
長男も持っていた方がいいのでしょうか?
様々な福祉サービスを利用できたり、施設の割引を受けることができたりしますよ。
特別児童扶養手当は、障害のあるお子さんを育てていることで働くことができなかったりする人のための手当でもあるんですよ、申請してみることをお勧めします。
療育園の先生にすすめられたこともあり、3歳前の次男の産休中に、療育手帳と特別児童扶養手当の申請をすることを決断しました。
療育手帳は、「知的障害があると判定された方」との定義があるので、お子さんが該当するのだろうか?と不安や戸惑いを抱いてしまうかもしれません。
しかし、療育手帳を取得することでサポートや手当を受けることにより、社会でどうしても孤立しがちな時に「子供が社会から受け入れられている」と、私は感じれるようになりました。
ただ、知能検査や発達検査は、発達指数として数値で判定されます。
私も初めて療育手帳を取得したときの発達検査で、長男の発達の遅れについて改めて認識したときは、少しショックを受けました。
療育手帳を取得しないと、「特別児童扶養手当」が受給できない?
私は療育手帳と同時に特別児童扶養手当の申請を行いましたが、特別児童扶養手当は、療育手帳がなくても申請可能です。
しかし、療育手帳の交付のタイミングで市役所の方からも「特別児童扶養手当の申請はしているか?」確認されます。
療育手帳を取得していると、特別児童扶養手当の対象となる可能性が高いからです。
療育手帳を取得するメリットとデメリット
- 様々な福祉サービスを受けることができる
- 所得税や住民税の障害者控除を受けることができる
発達値数・知能指数の検査を行うため、子供の発達程度が数値となり、A判定やB判定といった評価を受け止める必要がある
知能指数や発達値数には個人差があり、能力差はあります。
私は、「数値や判定だけがすべてではない」ということを理解した上で、検査結果を受け止めています。
療育手帳を取得するまでの流れ
私の市町村では以下の手順で手続きを行いました。
- 市の障害福祉課へ行き、療育手帳を取得したいことを伝える
・手続きの流れについて説明を受ける
・児童相談所に電話して、心理士による知能検査を受ける - 後日、児童相談所で発達検査を受ける(30分から1時間)
→検査後、判定結果の説明を受ける - 必要な書類(顔写真と申請書)を障害福祉課へ提出する
- 2、3か月後、療育手帳の交付決定通知が郵便で届く
- 市役所の障害福祉課に行き、療育手帳が交付される
- 療育手帳A、Bで利用できる福祉サービスの説明を受ける
地域差や個人差はあると思いますが、長男の場合は、療育手帳が届くまでに2か月近くかかりました。
交付までに時間がかかるので、利用する目的がある場合には、早めの手続きがオススメです。
<疑問>医師による診断は必要なの?
療育手帳の取得に医師による診断などは必要ありません!
ただし、指定された場所で発達検査や知能検査を受ける必要があります。
<問題>療育手帳の顔写真が撮れない!どうしたらいい?
手順③にある必要な書類の「顔写真」について、市役所に相談したところ、提出する書類の顔写真は最新の写真じゃなくても良いようでした。
障害をもつお子さんの中には、写真を撮ることができないお子さんもいます。
長男の場合、「こっち向いて!」なんて通じないので、写真を撮るのがとても難しいです。
赤ちゃんの時の写真の方もいます。
市によって違うかもしれませんが、困っている方は一度相談してみるのもアリです!
療育手帳の判定基準とは
療育手帳の申請時には、児童相談所で心理士による「発達検査」or「知能検査」を受けます。
お子さんの年齢や症状などに応じて、心理士が臨機応変に判断し、お子さんが行うことができる検査を行っているようです。
発達検査、知能検査とは?
子どもの発達検査とは、子どもの発達の段階や状態を調べるための検査のことです。発達障害であるかどうかを明らかにするための検査ではなく、あくまで子どもの発達段階や状態を、全体や領域ごとにみるためのものです。
発達検査と知能検査の間には、厳密な区別があるわけではありません。
知能検査で測定する対象は「知的能力の発達や状態」である一方、発達検査では、「知的発達も含む、より幅広い領域の精神発達の状態」が対象となる場合が多いようです。
https://h-navi.jp/column/article/35026048
ちなみに、過去に長男が受けたことがある発達検査・知能検査は以下の4つです。
心理士の先生が、長男に合っている検査を模索しながら、行っているようでした。
(発達検査の内容については別途記事作成予定です!)
- 新版K式発達検査2001
- 新版K式発達検査2020
- 改訂版鈴木ビネー知能検査
- 遠城寺式・乳幼児分析的発達検査
障害の程度の判定方法
障害の程度は、大きく「重度A」「軽度B」に分けられます。
(自治体によってはさらに細分化しているところもあります)
知能指数(IQ)や発達値数(DQ)とは?
各年齢段階に応じた課題が設定され、どの年齢に相当した問題まで解けるか?また日常生活の能力がどの程度か?などによって精神年齢が得られます。
実際の年齢(生活年齢)を元に、精神年齢の発達の程度について表したものを知能指数や発達指数といいます。
※知能指数が同じでも、生活年齢や経験などの違いにより、日常生活の能力には個人差があります。
(例)5歳の子供が検査の結果、精神年齢が1歳であるとすると、知能指数は20となる。
長男の判定結果について
長男は、過去4回発達検査を行いました。
(発達検査の内容については別途記事作成予定です!)
年齢が上がるにつれて、精神年齢と生活年齢の差が開いてきます。
その差で知能指数が変化するので、長男のDQ値は、53(生活年齢2歳)→29(生活年齢5歳)になり、5歳から「療育手帳A判定」に更新されました。
発達検査の受け止め方
発達検査におけるDQ値はあくまでも目安でありますが、初めて検査を受けた時は衝撃でした。
5歳で検査をした時は、次男より精神年齢が下であるという結果が出ました。
私にとっては「そうだろうな」と、思っていた通りでしたので、そこまで驚くことはありませんでした。
現在は、次男の関係者に「長男の精神年齢は次男より年下なので、兄弟の関係性は普通の兄弟の逆のような感じです!」と伝えることで、長男と次男の関係性を伝えやすくなった気がします。
私にとって、検査で長男の知能指数を知ることは、周りの人に長男のことを分かりやすく伝える手段のひとつという感覚に近いのかもしれません。
まとめ
私が長男の療育手帳を利用してよかったサービスは以下の4つです。
- 所得税や住民税の障害者控除
- 優先駐車場の利用
- 市内の動物園無料
- JR運賃割引
お金の面での補助はもちろん、買い物や通院の際に優先駐車場を利用できることで、突然飛び出すかもしれない長男の危険を少しだけ回避することができ、保護者の心理的負担も減ります。
療育手帳の取得に医師による診断などは必要ないので、自治体によるかもしれませんが、手続きも難しくなくスムーズに取得できると感じました。
2歳という一般的に早いかな?と思う年齢でも、療育手帳は取得できます!
療育手帳を取得しようか迷っている方の参考になれば幸いです。