でこぼこ兄弟の長男は、知的障害ありの自閉症スペクトラムです。
1歳半健診で初めて相談し、そこから1ヶ月後、保健師に療育をすすめられ、療育を始めることにしました。
「そもそも療育とは何なのか?」「どのような手続きを行わなければならないのか?」など療育の内容と手続の流れを紹介します。
療育とは
「児童発達支援」とは
「療育」とは、正式には「児童発達支援」と言います。(記事内では「療育」を使用)
児童発達支援とは、障害のある未就学のお子さまを対象とした児童福祉法に基づく通所支援のひとつです。
児童発達支援センターなどの施設に通い、日常生活に必要なスキル(日常生活動作)の獲得や、認知発達コミュニケーション、集団生活への適応訓練などの支援を受けることができます。
児童発達支援に通うことで困りごとを軽減することができ、必要なスキルを早期に獲得することで、社会生活における困難さが起こりにくくなるといわれています。
引用:児童発達支援とは?対象やサービス・利用料金や手続きの流れを解説
一般的に、早く療育を始めると、将来「困りごと」が少なくなると言われています。
昔は発達障害と認識されずに「生きづらさ」を抱えながら過ごしていた子どもたちも、発達障害を診断され療育を受けることができるようになっており、年々利用者や施設も増えています。
対象者は?
主に身体障害や知的障害、精神障害を持つ未就学児です。
児童発達支援事業所と児童発達支援センターの違いと特徴
療育を行うためには「児童発達支援事業所」か「児童発達支援センター」に通うことになります。その違いについて紹介します。
「児童発達支援事業所」と「児童発達支援センター」について
「児童発達支援事業所」と「児童発達支援センター」は、ほとんど違いがありません。
どちらも、子どもそれぞれの個性を尊重し、発達の段階や個人個人の特性を考慮したうえで、身近な地域で、「日常生活での基本的な動作の指導」「集団生活に馴染むための訓練」「技能や知識の習得」などの支援を提供している施設です。
参考:療育Biz – 児童発達支援センターと児童発達支援事業所の違い
「児童発達支援事業所」と「児童発達支援センター」の違い
「児童発達支援センター」は地域の障害児支援の中心となって療育を提供したり、関係機関と連携をとって地域内の障害児たちやその家族に対する支援を行なったり、地域内の事業所に対して支援を行なったり、居宅訪問型児童発達支援などの訪問サービスを提供したりしています。
児童発達支援センターは児童発達支援事業所が提供するサービスに加え、訪問支援や障害児支援利用計画の作成などの地域支援を行うため、規模がより大きく、その点で違いがあるといえるでしょう。「児童発達支援事業所」は身近な療育の提供場所として、障害児やその保護者が通いやすいように地域内に数多く存在しています。
引用:療育Biz – 児童発達支援センターと児童発達支援事業所の違い
療育を受けるための手続きの流れ
長男が療育を受ける時に行った「手続の流れ」について、挙げていきます。自治体によって異なることもありますが、大体同じだと思われます。
1.市役所の障害福祉課の窓口へ行く
「療育を受けたいこと」や「子どもの症状(できることやできないこと)」など、療育を紹介された経緯を説明しました。私の場合、「長男の様子を見た保健師にも確認してもいいですか?」と聞かれました。市の担当者と保健師は密に連携をとっているようです。
↓長男のこれまでの経緯はこちらの記事で↓
2.「指定障害児相談支援事業者」に電話をする
市役所で、「指定障害児相談支援事業者」の一覧を渡され、「指定障害児相談支援事業者」を選定し、契約をするように言われました。
契約したい「指定障害児相談支援事業者」に電話をして、「療育」を受けたいことを伝えます。後日、「面談」を受け、指定障害児相談支援事業者と契約後、市内で通うことができる療育園の説明や見学の日程を決めました。
※指定障害児相談支援事業者とは?
「指定障害児相談支援事業者」とは、主に障がいを持つ方が置かれている状況や抱えている悩みの相談に対する情報提供や助言、必要な障害福祉サービスの利用につなげる支援や、関連機関との連絡調整などを行う事業者のこと。
3.見学を行う
児童支援事業者の方に付き添っていただき、長男を連れて市内の2ヶ所の療育園の見学に行きました。(見学の内容については、別途記事作成予定)
4.受給者証を取得するための手続を行う
見学後、通いたい療育園を決めて、指定障害児相談支援事業者に伝えました。
受給者証を取得するために必要な「サービス等利用計画等」の作成は視程障害児相談支援事業者が行いますが、それ以外に必要な書類をそろえて、市の障害福祉課の窓口に提出しました。
5.受給者証の交付(郵送で届く)
届いた受給者証は、療育園に提出しなければなりません。受給者証は1年に1回更新をします。
6.療育園と契約手続きを行う
療育園に行き、契約手続きと面談を行いました。
面談では、子供の様子や送迎の利用などについて話し合いをしました。
また、療育園の先生が保育園に長男の様子を見に来てくれて、普段の様子を保育園の先生と共有してもらいました。
7.利用開始
療育園の検討をはじめてから約4か月後、療育園への通園が始まりました。
見学、契約手続き、審査や長男の体調不良などがあり、4か月かかりました。
8.6か月に1回、定期面談を行う
入園して半年後、指定障害児相談支援事業者と療育園の管理者、担任の先生、市役所の障害福祉課の担当者、保健師で集まり、通所後の様子について、報告と共有を行いました。
通所後も事業所の児童発達支援管理責任者が作成する「児童発達支援計画」や指定障害児相談支援事業者が作成する「障害児支援利用計画」に基づきモニタリングが行われ、その結果について報告を受けます。
長男の療育園では年に2回、計画に基づいて面談が行われています。
児童発達支援では何をするのか
「児童発達支援」は、大きく「発達支援」と「家族支援」の2つがあります。
長男の通っている療育園の場合を例に、具体的に説明していきます。
発達支援
①集団療育
友だちと関わりながら、「ルール」「協力」「順番」「感情の表し方」などを体験しながら学びます。集団が苦手なお子さんも、個々に合わせた支援で経験を積み重ねます。
②個別療育
指先の練習、着替え、文字、数の概念、SST(ソーシャルスキルトレーニング)など、個人に合わせた課題を行います。
③特別支援<理学療法・言語療法・こどばの教室>
学療法士・言語聴覚士による個別指導を実施しています。
<理学療法>
筋力、関節可動域の改善・バランス能力の向上などを通じて、日常生活動作(起きる・座る・立つなど)、歩行などの運動能力を高めます。
<言語療法>
遊びを中心とした活動を提供することにより、コミュニケーションや構音(発音)の訓練を行います。
<ことばの教室>
言葉の遅れや、構音機能・発音に問題のあるお子さんに対して、楽しい遊びや読み聞かせを通して、のびのびと自分の気持ちを表現できるよう、ことばの面での個別指導を行います。
対象児童の発達や特性、保護者の希望などに合わせて、特別支援を取り入れています。
長男は、理学療法と言語療法を行っていますが、ことばの教室は行っていません。発語がない長男は、「ことば」より「ことば以外のコミュニケーション」を重視しているからです。
家族支援
そのほか、家族支援では、保護者の子育てに関する悩みなどに対する相談に対して、適切な助言や支援を行っています。
療育園での1日スケジュール
長男の療育園では以下のスケジュールで活動しています。
9:00~ | 登園 朝の支度・健康観察 自由遊び・個別ワーク 朝の会 おやつ |
10:45 | 集団療育<クラス活動>/戸外活動 |
11:45 | お弁当 |
12:40 | 歯みがき |
13:00 | 午睡/個別療育/特別支援 |
14:30 | 帰りの会 |
15:00~ | 降園 |
また、毎月健康診断を行ったり、年に数回歯科健診&フッ素も行っています。
長男は歯医者が猛烈に嫌いなので(笑)、とても助かっています。
保育園や幼稚園との並行通園
療育は保育園や幼稚園との並行通園も可能です。
「週3療育に通い、保育園に週2」など、それぞれ子供の発達に合わせた必要な支援を行っています。
長男も週5で日中療育園に通っていますが、私の仕事の関係で、朝と夕方だけ保育園で過ごしています。
並行通園の時のスケジュールは以下の通りです。
8:00 | 保育園に連れていく |
8:00~8:45 | ~保育園で過ごす~ |
8:45 | 療育園の通園車が保育園に到着 |
9:30 | 療育園に到着 |
9:30~15:00 | ~療育園で過ごす~ |
15:30 | 療育園の通園車が保育園に到着 |
15:30~17:00 | ~保育園で過ごす~ |
15:00~ | 保育園に迎えに行く |
通園車は他の児童もいるので、保育園の先生が、通園車まで長男の送迎をサポートしてくれています。働きながらも療育に通うことができるので、非常に助かります。
まとめ
児童発達支援は、「集団療育」や「個別療育」を通して、その子にあった丁寧な支援を提供しています。
また、これから社会生活を営む上で、なるべく「生きづらさ」を感じないように、基本的なことをしっかりと身につける訓練を行っています。
「児童発達支援を受けること」=「障害であると認めること」となると、少しハードルが高く感じてしまいますが、「プロの手を借りて、子供に寄り添うこと」だと考えることもできるのでは??と私は思っています。
長男の園でも、幼稚園との並行通園を経て、児童発達支援事業所を卒園したお子さんもいました。
また、小学校の普通級や支援級、支援学校など就学先もさまざまです。
少しでも不安を感じた時は、まずは市の方に相談してみてもいいかもしれません。
療育園の先生方はとても親身になって指導してくれますし、とても心強い味方になってくれます。