でこぼこ兄弟の長男は知的障害ありの重度の自閉症スペクトラム症です。
長男は、1歳半健診後の2歳から療育を始めました。
2歳からの療育は、早期療育に該当します。
入園当時、3歳以上のお子さんしかいませんでしたし、2年くらいは園で最年少でした。
この記事では、早期療育をするかどうか悩んでいる人や迷っている人に向けて、2歳から早期療育をした長男の効果やその後の成長について、まとめています。
長男が療育を始めたきっかけ
長男は1歳から保育園に通っていました。
保育園で過ごす中で、周りの子と比べて発達が遅いという違和感を感じるようになりました。
1歳半健診をきっかけに、保健士さんに相談。そこから療育へ繋げてもらい、2歳1ヶ月から療育へ通うことになりました。
※詳しくはコチラの記事に書いています↓
療育を始めた時の長男の発達程度
2歳1か月から療育園に通うことになりました。
入園当時の長男の発達程度は以下のとおりです。
項目 | 入園当時 |
---|---|
発語 | なし |
呼びかけへの反応 | なし |
視線 | 合うという感じではない |
コミュニケーション | クレーン要求のみ |
模倣 | なし |
トイレ | オムツ |
衣服や 靴の着脱 | なし |
運動 | 歩行・走ることができるが、つま先立ち多め |
情緒 | よく笑う・突然泣く |
行動 | 座り続けれない |
手先 | 〇を書くことはできない |
食事 | 手づかみ、コップ(補助あり) |
偏食 | あまりない |
身の回りのことに関しては、2歳ということもあり、支援が必要なことに関して、困ることはありませんでした。
しかし、呼びかけへの反応がなく、意思疎通が取りにくいことに悩んでいました。
どんな療育を行うのか?
療育を始める時に作成した個別支援計画を元に、長男が行ってきた療育の内容について、まとめてみました。
療育園に入園したときに、個別支援計画で立てた家族の支援の意向は以下の3つです。
- 呼びかけに応じるようになってほしい
- 周囲の人との関わりを広げていってほしい
- 身の回りのことを自分でできるようになってほしい
これらの意向を踏まえて、5年間、様々な療育に取り組んできました。
家族の支援の意向に対する個別の支援目標は、半年に1度見直しが行われ、その時の長男に合った支援内容に更新されました。
長男の場合は、「身の回りのことができるようになること」と「周囲とのコミュニケーションを取れるようになること」が大きな目標となりました。
5年間の療育園生活の中で、長男が先生方と取り組んできた内容について、次でご説明します。
支援目標「身の回りのことを自分でできるようになってほしい」
- 自分でスプーンやフォークを使い食べる
- フォークで刺す、救う練習を行っていき、食べることへの定着を図っていく。
- トイレで排尿する
- 排泄状況を確認しながら、トイレ誘導を行う。
- トイレでの成功体験を増やす
- 行動観察により予兆をつかみ、成功体験を増やしていくようにタイミングを図っていく。
- 衣服の着脱を練習する
- トイトレと同時にズボンの着脱練習を行っていく。
- パンツで過ごす
- ・日中布パンツで過ごし、トイレでの排尿の定着を図る
・スリッパの脱ぎ履きや手洗いなど、トイレでの行動の流れの定着を図る
- 外注弁当を食べる
- 就学に向けて、家からの持ち込み弁当だけでなく、様々なバリエーションの食事を行っていく。
支援目標「周囲とのコミュニケーションを取れるようになること」
楽しみながら周囲の人と関わる
- 朝の支度を支援者と一緒にする
- ・自分の持ち物を認識すること
・職員の呼びかけや言葉かけに注目させ、理解言語を増やしていく
- やりとりを楽しむ
- ・本人の興味や関心をみつけながら、他者とかかわり楽しめる遊びを増やしていく
・手をつないだり、名前の呼びかけを行う
- 先生と一緒にお友だちと遊ぼう
- 保育士との愛着関係を築き、安全で安心した関係の中で、友達との関わりが楽しい経験になるように支援する
運動を通して社会性を身につける
- 体全体を使って楽しむ
- ・体全体を使った運動遊びを通して、一緒に好きな感覚を楽しみ、気持ちを共有
・簡単な言葉を添え、言葉による指示理解を促す
- 手先
- 描画やシール貼りなどの課題やごっこ遊びなど手指の操作を促す運動
- 戸外での運動遊び
- 戸外での散歩などを通して、友達と一緒に参加し、集団活動での楽しい経験を積むこと、手をつないで歩くこと、言葉かけなどに応じることを促してく
- 全身&手先指先を使った課題
- 道具や遊具の操作への誘導を行い、楽しみながら練習をし、生活動作の向上をつなげていくように支援する
保育士とのやり取りの中で他者に注目したり「場」や「もの」の共有を行い、コミュニケーションを支援する
特別支援(ST・PT)について
PT
- ボディイメージをつかめる
- ・粗大運動(三輪車操作・トランポリンなど)を行う
・活動を通して、具体的なもののやりとりを行う
- 体幹バランス&手指の巧緻性の向上
- ・粗大運動(三輪車操作・トランポリンなど)や巧緻運動(ペグ刺し・ビー玉移しなど)を行う
・活動の中で、言葉による理解を図る
ST
療育園に入園して1年、3歳になったタイミングで開始しました。
- 発語を促す&言語指示の理解
- ・口唇・舌の運動、音声模倣
・絵カードマッチング、読み聞かせ、ドリル
園児数15人〜20人という少人数の中で、先生方からの手厚いサポートのもと、様々な取り組みをしていただきました。
日々の具体的な療育内容
目標に掲げていることを大前提としながら、療育園に通うことで身についた長男の大きな成長もありました。
タッチの練習
長男は発語がなく、目標の「呼びかけに応じるようになってほしい」にも挙げている通り、コミュニケーションが取りづらいことが気がかりでした。
そんな長男に対して、先生方が最初に練習を始めたのが「タッチ」でした!
何かができたとき、おはようの挨拶、名前を呼んで返事をする代わりになど、日々の生活の中でコミュニケーションをとる方法として「タッチ」の訓練をしました。
1年くらいで先生と自然にタッチをするようになり、家でも取り入れることで、今でも言葉の代わりにコミュニケーションとしてタッチを使っています。
早めに排泄の練習を始める
入園してすぐに、オマルでのトイレトレーニングが始まりました。
通常の保育園より、少し早いタイミングだと思います。
「座るだけ→出る時もある」 という流れから、徐々にトイレに移行していきました。
(オマルからトイレに移行するタイミングで、個別目標にも掲げています)
先生方にも、「トイトレはまずは園でしっかり定着させますね」と言っていただき、とても心強かったです。
手をつないで歩く
長男は感覚過敏のせいか、手をつないで歩くことが苦手です。
しかし、他動もあり、急にどこかに走ったりするので、入園してすぐに、先生と手をつないで歩けるように練習を始めました。
並行通園の保育園までの距離は歩くようにしたり、園外散歩に連れて行ってくれたり、徐々に大人と手をつなぐことに慣れることができました。
現在の長男について
項目 | 入園当時 | 現在 |
---|---|---|
発語 | なし | なし |
呼びかけへの反応 | なし | あり |
視線 | 合うという感じではない | 合う |
コミュニケーション | クレーン要求のみ | タッチ✋、クレーン要求、そのもの自体を持ってくる |
模倣 | なし | 手遊びができる |
トイレ | オムツ | 定期排泄(介助あり) |
衣服や 靴の着脱 | なし | 介助が必要だが、自ら着脱しようとする |
運動 | 歩行・走ることができるが、つま先立ち多め | プレイルームで三輪車やバランスボールなど様々な動きができる |
情緒 | よく笑う・突然泣く | ほぼ変化なし 癇癪あり |
行動 | 座り続けれない | 朝の会、帰りの会など座らないといけないタイミングでは着席できる |
手先 | 〇を書くことはできない | 〇やーを書いたり、顔を書いたりする |
食事 | 手づかみ、コップ(補助あり) | 促せば、フォークを使うことができる。 コップで飲める |
偏食 | あまりない | ある。しかし、家では食べれないものも療育園だと食べたりする |
現在も、苦手なことやできないことが多い長男ですが、5年間の間で、少しずつできることが増え、安定した環境の中でしっかりとした療育を受けることができたと感じています。
まとめ「【実例】2歳から早期療育をはじめた息子の療育内容とその後の記録」
長男は、2歳という早いタイミングで療育をはじめました。
「早期療育をした方が成長が早いのか??」については、早期療育をしていないパターンを実証することができないので、比べることはできません。
しかし、覚えることや慣れることが苦手な長男が、早くから生活に関することについて、丁寧に指導してもらうことができたおかげで、現在の長男の姿があるのではないかと、私は感じています。
また、療育のプロである先生方が身近にいてくれることで、特に難しい自閉症児の育児について、いつでもアドバイスを受けることができました。
子供のみならず、障害のある子育てに不安を感じる親に対する支援もしっかりしてもらうことができ、私自身は早期療育を決断してよかった…!!と今改めて思っています。